バイオメカニクス研究室

安全な自動車開発,交通事故の低減を目指して

当研究室は自動車を対象として,交通事故での人体傷害を低減することや予防安全技術への応用を目的として人間-機械系の研究を実施しています.特にインパクトバイオメカニクス研究と呼ばれる傷害研究に特化しており,世界でも数少ない研究機関のひとつです.研究成果は政府や自動車産業界の安全対策へ応用され,より安全な自動車開発を支援しています.

研究は人間工学,生体力学,ドライブレコーダ,シミュレーション,事故実態調査の分野に分け,学部学生,大学院博士前期課程・博士後期課程の学生がバイオメカニクス研究を学んでいます. 就職実績としては,自動車産業界に就職する学生が多く,ホンダ,トヨタ,スズキ,スバル等の自動車メーカや大手部品メーカに就職し,研究開発分野で活躍しています.また,警察本部の科学捜査研究所へ研究員としての採用実績もあります.

ドライブレコーダ

ドライブレコーダ研究では,交通事故の事故記録装置を救命に応用するための研究を実施しており,プロトタイプの装置を製造し,研究室車両やタクシーに搭載して実証実験を実施しています.

日本大学で開発した救急救命ドライブレコーダ

ドライブレコーダ実験の様子

衝突実験によるドライブレコーダの性能評価とその収集データ例

生体力学

生体力学研究では,自動車乗員のケガに着目し,人体の力学特性取得を目的とした研究を行っています.臓器の力学試験に加え,医学の病理分野で実施される組織染色を応用した研究も実施しています.

脳代替物の圧縮実験

脳細胞の染色実験

シミュレーション

コンピュータシミュレーションは,交通事故という人体を用いた実験が不可能な現象を予測するために重要です.ヘルメットや人体のコンピュータモデルを構築し,そのシミュレーションを行っています.


ヘルメットのシミュレーションモデル

人間工学

人間工学研究では,心拍,血圧や筋電位の測定を実施し,自動車乗員の傷害を評価するための人間特性に関する研究を実施しています.

頚部筋電の測定実験

下肢筋電の測定実験

事故実態調査

事故実態調査は,安全研究の基礎となるリアルワールド(実験車両ではなく実事故を指す車両開発用語)で発生した事故の詳細調査を実施するものです.車両損傷や人体傷害の調査を大学医学部と共同で実施しています.ドイツ,アメリカ,オーストラリアで実施している大学を中核とした事故調査解析を我が国で初めて立ち上げました.調査結果は,生体力学実験やドライブレコーダの基礎データとして応用しています.

車両損傷の調査

医学者との事例検討会