日本大学工学部機械工学科
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研究紹介

 

●生細胞内アクチン構造の実時間観察

我々の体を作り上げている細胞には、人間のような手や目、足などの複雑な組織がない代わりに“タンパク質”を巧みに利用して成長や様々な機能の発現を行なっています。このような細胞機能の発現や成長の引き金となるのは、我々を取り巻く様々な“力”です。我々の体には、重力や血液の流れなどの力が常に加わっています。この力を感じ取ることによって細胞は周囲環境の状態を感知し、適した動作や成長をします。この細胞の周囲環境の感知には、“アクチンフィラメント”による細胞内の力の伝達が深く感知していると考えられています。このアクチンフィラメントは、細胞内に張り巡らされている繊維状のタンパク質の構造体です。細胞内の力の伝達は、細胞の変形によってアクチンフィラメントが引っ張られることによって生じ、アクチンフィラメントのネットワーク構造も変化します。この構造変化によって細胞性質の変化が生じます。この性質の変化は、我々の体の成長や機能の維持に関わっている反面、動脈硬化症や骨粗しょう症などの病気にも深く関わっています。このアクチンフィラメントによる力の伝達がどのように細胞の力の感知や性質の変化に関わるか解明しています。その手法として、遺伝子導入を行って生きた細胞内のアクチンフィラメントの可視化を行い、顕微鏡画像を“超解像度画像解析手法”で解析しています。

 

 

    

●渦形成を目的とした急拡大流路での血管内皮細胞の応答解析

 現在、世界的に脳梗塞や心筋梗塞などの血管由来の病気で亡くなる方が増加の傾向にあります。血管は全身に張り巡らされており、血液を送る管の役割をしています。その血管が加齢や、生活習慣の乱れ、喫煙など様々な理由によってコレステロールが血管内に蓄積することで血管が狭くなる、または詰まることがあります。この血管由来の病気は動脈硬化症と呼ばれています。しかし、動脈硬化症の進行する詳細な過程は明らかとされていません。また動脈硬化性の病気は致死率の高いものが多いために、数多くの研究がされております。 この動脈硬化症は、血管の分岐や、湾曲している場所での発生が多く確認されています。こういった場所では、流体力学の観点から血液の流れが複雑になり渦が発生し、一部流れが逆流していることが分かります。実験では、実際に培養した細胞と、血管の分岐部や湾曲部を摸擬した流路、細胞に流れを負荷するポンプを組み合わせて細胞を観察し、解析を行います。以上のように、私たちの研究班では力学的観点から動脈硬化症の進行する詳細な過程の解明を目的として研究を行っております。

 

●力学刺激によるDFAT(脱分化脂肪)細胞の分化誘導に関する研究(再生医療)

 現代の医療では、臓器に大規模な損傷や機能不全が生じた場合、一般に医薬品による治療では根治手段となり得ず、臓器移植による外科的な治療手段を用いる以外ありません。しかしながら、移植医療には、他人から提供を受ける臓器への免疫拒絶と、臓器提供者の慢性的な不足という2つの大きな問題があります。この移植医療の限界を克服する技術として、近年注目を集めてきたのがいわゆる再生医療です。 日本大学医学部では、脱分化脂肪細胞(dedifferentiated fat cell :DFAT)という成熟脂肪細胞を天井培養という培養方法によって、人工的に作り出される多能性細胞を研究しています。脂肪組織に存在する間葉系幹細胞に似た形質を示し、一端終末分化をした細胞でも適切な環境下で培養する事により、人工的に未分化な細胞(骨、軟骨、脂肪、血管、心筋など)へ分化する能力があると考えられています。 私達工学部では、このDFAT細胞に対して力学的刺激(震とう培養、通常の流れ、あるいは伸展など)を加えて増殖や分化の促進をはかり、また、刺激の種類によってどの系統に分化するかを調べる事を課題としています。これらの研究において、DFATの様々な臓器への分化を確認出来れば、DFATの認知度を高められ、治療の選択肢が広がることで医療に貢献することができる思い日々研究をしています。

 

●培養細胞を用いた金属・生体材料の生体的合性試験に関する研究

 生体内には治療を目的として、様々な金属が使用されています。特に、狭心症や心筋梗塞な ど血管が詰まってしまう(狭窄)ことによって、十分な血流を確保することができなくなって しまった疾患に対して、ステントとよばれる金属でできた、網目状で円筒型の医療機器を体 内に埋め込み、狭くなった血管を内側から広げて血流を改善するという治療が行われてい ます。ただその一方で、使用する金属の種類によって、金属が溶け出してしまったことによ るアレルギー反応や血管が再び詰まってしまう再狭窄など生体に様々な影響を与えること も確認されています。私たちは、血管の内側を覆う内皮細胞が金属に対してどのような反応をするのか、様々な種類の金属と共に培養をし、増殖や応答を観察し、親和性について評価しています。

 

 

●骨芽細胞様株化細胞の力学刺激に対する応答

 生体内には治療を目的として、様々な金属が使用されています。特に、狭心症や心筋梗塞な ど血管が詰まってしまう(狭窄)ことによって、十分な血流を確保することができなくなって しまった疾患に対して、ステントとよばれる金属でできた、網目状で円筒型の医療機器を体 内に埋め込み、狭くなった血管を内側から広げて血流を改善するという治療が行われてい ます。ただその一方で、使用する金属の種類によって、金属が溶け出してしまったことによ るアレルギー反応や血管が再び詰まってしまう再狭窄など生体に様々な影響を与えること も確認されています。私たちは、血管の内側を覆う内皮細胞が金属に対してどのような反応をするのか、様々な種類の金属と共に培養をし、増殖や応答を観察し、親和性について評価しています。